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2007年度夏学期 全学自由ゼミナール

芸術の中の数理:エッシャーの秘密を探る

担当教員: 杉原 厚吉 教授
日時:火曜5限


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授業の目標・概要

グラフィックアーティストとして活躍したオランダのエッシャーは、不思議な作品をたくさん残していることで有名である。その主なものは、2種類に分類できよう。第一のグループは、平面への図形の敷き詰めを素材にしたもので、第二のグループは、不可能な立体の絵を素材にしたものである。エッシャーは、これらの素材を生かして、すばらしい作品をたくさん世に出し、世界中の人々を驚かせた。  本ゼミナールでは、これら二つのグループの作品を、数理的に分析し、その秘密に迫る。前者の図形の敷き詰めは、タイル貼りの数理と深く関係している。また、後者の不可能物体は、投影の幾何学、コンピュータビジョンの数理と深く関係している。目標は、エッシャーの絵の構造を数理的に理解し、自分でも同じような絵が描けるようになることである。  最後に、エッシャーを越えて、エッシャーが絵に描いたものを立体化するための方法についても考える。これは、絵を理解するコンピュータを作りたいという数理工学の研究の中から生まれた副産物である。

授業のキーワード

立体錯視、だまし絵、エッシャー、タイル貼り、コンピュータビジョン、数理工学

授業計画

 まずは、エッシャーの作品を数理的に分析し、その構造を理解する。次に、その理解の上に立って、同じような作品を自分でも作ることのできる方法論を、やはり数理の力を借りて探る。そして、最後に、エッシャーを超えて、エッシャーが絵に描いたものを立体として作るための方法論を追求する。  第1部では、図形の敷き詰めに基づいた作品を解析する。ここでは、図形の対称性、空間の勢力圏分割、双曲幾何学などを、数理的道具として使う。  第2部では、「だまし絵」、「不可能物体の絵」などとよばれる図形を素材とした作品を解析する。ここでは、立体幾何学、投影の幾何学、射影幾何学、線形代数などを道具として使う。  そして最後の第3部では、受講生の皆さん自身に作品を創作してもらい、発表会を行ってお互いに鑑賞し合う。

第1部 タイリングとアート
1.1.幾何的対称性と周期的タイリング
1.2.タイリングのエッシャー化
1.3.双曲幾何学と非一様タイリング
1.4.図形補間ともう一つのエッシャー化手法

第2部 不可能空間の心理と数理
2.1.頂点辞書と線画解釈
2.2.不可能立体の描き方
2.3.不可能立体の作り方その1:奥行きのトリック
2.4.不可能立体の作り方その2:曲面のトリック
2.5.不可能立体の作り方その3:非直角のトリック
2.6.立体実現問題の数理
2.7.不可能な物理現象の創作

第3部 創作活動と発表会

授業の方法

講義を中心としますが、受講生の皆さん自身にも、作品を創作してもらいます。エッシャーに負けないすばらしい作品を期待しています。というとプレッシャーになるかもしれませんが、数理という道具が創作活動に役立つことを理解し、それを実戦してもらえば十分です。芸術的クオリティは問いません。