平均と分散の組を決めると,正規分布をひとつ指定することができる.このように,正規分布には2つのパラメータ(平均と分散)があるため,正規分布全体の集まりは2次元の空間(多様体)と見なせる.この空間には,統計理論から見て自然な意味をもつ,計量や接続とよばれる微分幾何学的構造が導入される.このように情報幾何学では,統計,情報理論,量子情報,制御,最適化,統計物理など数理情報の諸分野で現れる対象に,情報の本来の意味から見て必然的で自然な幾何学的構造を導入する.この幾何学的構造を調べることにより,対象に鋭く切りこんでゆくことができる.