2018年度S1S2 学術フロンティア講義「数理工学のすすめ」が
2018年4月5日より始まります.詳細は以下のページをご覧ください.
日時:2018年4月6日(金) 18:45~
場所:駒場キャンパス7号館743教室
合同説明会の中で,
の概要を説明します.
応用物理系(計数工学科・物理工学科)進学ガイダンス:
日時: 2018年5月1日(火)18時45分~20時15分
場所: 駒場キャンパス13号館1313教室
2018年度計数工学科パンフレットを掲載しました.
キャッシュ(cache)とは、プロセッサと主記憶の間に置かれる、主記憶より小容量だが高速な記憶装置であり、使用頻度の高い情報(データと命令)の写しを保持することで、低速な主記憶へのアクセスを減らし処理を高速化する事を目的とする。平均的なメモリアクセス時間を短縮し処理を高速化するには、キャッシュのヒット率(参照情報がキャッシュにある確率)を高く、アクセス時間を短くする必要があるが、これらはトレードオフの関係にある。例えば主記憶の情報をキャッシュに保持する際の配置自由度を増やせばキャッシュヒット率は向上するが,キャッシュ内の探索箇所が増えるためにアクセス時間は増大する.ここで,主記憶の情報がキャッシュ内のN箇所いずれかに格納可能である方式をNウェイセットアソシアティブ(N-way set associative)方式といい,このNを連想度と呼ぶ.
仮想記憶(virtual memory)とは,限られた容量の主記憶と大容量の補助記憶装置(具体的にはディスク装置が広く使われる)からなるメモリ階層において,ハードウェア機構とオペレーティングシステムのサポートにより,ユーザに主記憶の容量を意識させることなく大容量のメモリ空間を仮想的に提供する技術である。仮想記憶方式においては2つのアドレスが存在し,1つは主記憶として実装してある容量に対応する実アドレス(物理アドレス),他方は仮想的に実現される容量に対応する仮想アドレス(論理アドレス)である。ソフトウェアに提供されるのは仮想アドレス空間であり,実際のハードウェア上で実行する時には,仮想アドレスを実アドレスに変換する必要がある。このアドレス変換方式には,アドレス変換の単位が固定であるページング方式と,可変であるセグメンテーション方式がある.
任意の数値に対して,ある定数からその数値を引いた数値を補数と言い,補数表現は主にコンピュータ内で負の数値を表わすために用いられる.通常,LSI内では低電位か高電位の2状態があり,それぞれ論理0と論理1として捉え,数値は論理0と論理1の組み合わせから成る2進数により表現される.2の補数表現を用いることにより減算を加算として扱うことができ,回路が簡略化されるため,コンピュータ内で数値を表わす時は2の補数表現が広く利用されている.
回路の出力が現時点での外部入力のみでは決まらず,内部の状態にも依存して決定される回路を順序回路と言う。順序回路は記憶を持った回路であり,状態を記憶する素子としてラッチやフリップフロップと呼ばれる回路が使用される。一方,外部入力のみで出力が決定される回路を組み合わせ回路と言い,順序回路は組み合わせ回路と記憶素子により構成されると捉えることも出来る。記憶素子にはRS型,D型,JK型など様々な構成があり,タイミング制御方式もクロック信号に同期して状態を遷移させるものや,データ入力に応じて状態を遷移させる非同期式のものがある.
計算システムが所望のサービスをユーザに提供しなくなった時,この異常を障害(failure)と言い,その原因となるシステム構成要素(ハードウェアとソフトウェアを含む)の異常をフォールト(fault)あるいは故障と呼ぶ.システムの高信頼化には,障害の原因となるフォールトが発生しないようにするフォールトアボイダンス(fault avoidance)と,フォールトが発生してもシステムとしては障害に至らないようにするフォールトトレランス(fault tolerance)の2つのアプローチがある.フォールトトレランスは,システム構成に冗長性を与えることで実現される.フォールトトレラント計算システムに求められる性質としてRASと呼ばれる信頼性(Reliability),可用性(Availability),保守性(Serviceability)がある.