ネットワークドダイナミカルシステムにおける信号複雑度

◆実験内容:
経済現象、あるいはインターネット上のユーザーの振る舞いなど、多数の動的システムがネットワークを介して接続している系をネットワークドダイナミカルシステムという。本研究テーマでは各サブシステムが強調してタスクを処理する場合について、各通信線を流れる信号の複雑度を調べ、適切な複雑度の好ましいネットワーク構造を見つける。

マルチスケール性に基づく大規模複雑システムの階層化モデリング

◆実験内容:
近年の計算機技術の進歩により,理工学のあらゆる分野で大規模複雑システムのモデリングの重要性が増している。本実験では、このようなシステムが有するマルチスケール性に着目し、階層化ネットワーク構造をもつシステムとして効率よくモデリングする手法を考える。特に、部分空間同定法とよばれる観測データを利用した手法を援用する。そして、数値シミュレーションによって提案手法の有効性を検証する。

自律分散的合意形成と遺伝子ネットワーク解析への応用

◆実験内容:
社会システムや生態系が、大規模・複雑かつ自律分散的であるにも関わらず合意形成がなされるという現象がしばしば観察される。そこで本テーマでは制御理論的立場で、このような合意現象を解明することを考える。具体的にはマルチエージェントシステムの階層化や情報交換のネットワーク構造が、合意形成に及ぼす影響を解析する手法を導出する。また、生体内の遺伝子系の活動メカニズムの解明に提案手法を適用する。

フィードバック制御による量子もつれの生成

◆実験内容:
量子情報機器(量子コンピュータなど)では量子ビットを用いることが想定されているが、任意のビット配列を作り出し、その状態を長時間保持するにはフィードバック構造が不可欠であると考えられている。本実験では、「量子もつれ状態の安定化」のための新しい制御理論を学び、その有効性を確かめる。

倒立振子の制御

◆実験内容:
倒立振子の制御を通して制御論の基礎を習得する.まず,制御対象となる倒立振子の線形状態方程式モデルの導出方法を理解する.つぎに,極配置法と最適レギュレータ法を用いて状態フィードバック則を求め,実機に適用することでこれらの手法の特性を学ぶ.さらに,オブザーバに基づく出力フィードバック制御についても学習する.
◆担当教員から学生へのアドバイス:
本実験では,制御論の知識を倒立振子という具体的なシステムに適用します.安定性や速応性といったシステムの特性に関する知識が特に重要です.体系的な理論の有用性を確認し,その面白さを体感してください.

演算増幅器

◆実験内容:
 演算増幅器(operational amplifier)を用いた種々の回路を作成し,動作を解析することにより演算増幅器の基本特性を理解し,アナログ回路の基本として,その使用法を修得する.
◆担当教員から学生へのアドバイス:
 信号処理,制御,回路など計測の基本となる幾つかの分野との関係が直接的で分かりやすい実験である.与えられた課題を漠然とこなすのではなく,各課題の理論的な背景や回路による実現の鍵について,きちんと消化しながら実験を進めてほしい.

システム5-津村

教員紹介

津村 幸治(つむら こうじ)
津村 幸治

東京大学大学院 情報理工学系研究科
システム情報学専攻
准教授

〒113-8656 東京都文京区本郷 7-3-1 工学部 6 号館 252 号室
Tel: 03-5841-6891
Fax: 03-5841-6886

E-mail:koji_tsumura@ipc.i.u-tokyo.ac.jp

[ホームページ]

略歴

1992年 東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻博士課程修了
同年 千葉大学工学部情報工学科助手
1996年 同講師
1998年 東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻講師.現在に至る.博士(工学)

研究テーマ

 制御理論と周辺領域との関係を,数理的思考で解析することに興味がある.体系化された制御理論と情報理論の融合や,量子力学系の制御理論の構築などである.具体的な研究テーマは以下である.

・制御理論と情報理論の融合
・ネットワークド制御
・量子制御
・ネットワークフローの輻輳制御
・ロバスト制御システムの位相構造
・システム同定と制御系設計の融合

主な論文・著書

T. Hayakawa, H. Ishii, K. Tsumura, Adaptive quantized control for linear uncertain discrete-time systems, Automatica, 45(3), pp. 692-700 (2009)
赤間俊一, 津村幸治, ロスのある通信路を介した適応制御, 計測自動制御学会論文集, 44(7), pp. 592-599 (2008)
H. Ishii, C. Ohyama, K. Tsumura, Performance analysis of control systems under limited data rates, Trans. of the Society of Instrument and Control Engineers, 44(5), pp. 396-404 (2008)
星名寛人, 津村幸治, 石井秀明, パケットロスを伴う量子化信号による離散時間線形システムの安定化, 計測自動制御学会論文集, 44(3), pp. 234-242 (2008)
N. Yamammoto, K. Tsumura and S. Hara, Feedback control of quantum entanglement in a two-spin system, Automatica , 43 (6), pp. 981-992 (2007)

制御理論研究室


制御理論研究室
– 制御:動きをデザインする科学 –
研究室のHomePage→
津村 幸治
津村 幸治

准教授
 
モデリング・システム同定
モデル構築の基礎理論,特に不確かさを重視した時系列解析に基づくシステム同定,複雑な相互作用を含む大規模系のモデリング手法の構築を目指す.
制御系設計理論
ロバスト制御,非線形/ハイブリッド制御,学習制御など,アドバンストな制御理論の構築と,高性能を達成する系統的な制御系設計手法の開発を目指す.
サイバネティクス
ウィナー以降も発展目覚しい情報理論・量子力学・脳/神経科学・経済学等近隣分野と,同じく進歩著しいシステム制御理論との新しい融合を目指す.
ロバスト制御
(詳細ページのみ)
学習理論と行動知能
(詳細ページのみ)
量子力学システムの制御
(詳細ページのみ)