脳内神経活動領域の形状推定

◆実験内容:
脳内の神経に電流が流れたときに生じる磁場を計測し,脳内のどの部位が活動したかを推定する逆問題において,活動部位のみならず,領域の形,サイズを推定する手法を導き,数値シミュレーションや実データ解析により検証します.

統計的音声合成・声質変換に関する研究

◆実験内容:
 統計的音声合成・声質変換は、任意のテキスト情報から目的とする声色をもった人工音声を生成する技術である。しかし、本技術は統計的な逆問題を解くことに対応するため、最終出力である任意発話音声の品質を向上させるのは非常に困難であることが知られている。本研究では、音声生成制約等の確率的解釈・導入により、その品質向上を目指す。

非負値独立成分分析に基づく非負値行列因子分解の初期化

◆実験内容:
 非負値行列因子分解は大規模データや音響スペクトログラム分解・分析に有効な手法であるが、一般にその分解における反復最適化は初期値依存性が高いことが知られている。そこで近年、この初期化を非負値独立成分分析によって与える手法が提案されている。しかし独立成分分析はデータのスパース性と相互情報量の両方を同時に制御するため、そのどちらが初期化に効果があるのか解明されていない。そこでスパースな非負値行列生成を行う確率モデル等を用いて上記と比較検討し、有効な初期化は何かについて検討を行う。

識別的基底変形学習に基づく半教師有り楽器音分離

◆実験内容:
 混合音楽信号から精度よく目的楽器音を抽出するため、スペクトル頻出パタン分解(非負値行列因子分解)による手法が提案されている。本手法は事前教師基底を使用するため、未知系を通過した音の分解能力が著しく劣化するという問題がある。そこで、識別的学習論に基づく基底変形を導入し、未知系への適応を行う最適な基底変形法は何かを検討する。

ディジタル回路の基礎

◆実験内容:
 IT技術が進歩した現代においては、家電やコンピュータ、スマートフォンなどさまざまなディジタル回路が身の回りで利用されている。特に、近年のプロセッサは数百億のトランジスタで構成されており、それらが数センチ角のチップ中に高密度に集積される。このように、システムの規模が大きくなるにつれて、回路設計も複雑になる。本実験では、ディジタル回路設計において用いられるハードウェア記述言語を習得し、ディジタル回路設計のフローを学ぶ。また、実験ではFPGA(Field Programmable Gate Array)と呼ばれる任意の論理回路を構成できる特殊なデバイスを利用し、設計したディジタル回路設計を実際に動作させ、動作検証の方法を理解する。
◆担当教員から学生へのアドバイス:
 本実験ではハードウェア記述言語のVerilog HDLを扱う。Verilog HDLで記述されたコードはソフトウェアのように上から順に逐次的に実行されるのではなく、並列に動作する回路になることを意識するのが重要である。

知覚の測定と解析

◆実験内容:
 動きや物体形状などの視覚情報処理は,大半が大脳新皮質において行われており,視覚情報処理メカニズムの研究においては大脳での情報処理を知ることが不可欠である.視覚の機能を測定する方法には,自覚的測定と他覚的測定とがある.前者は,前もって定められた判断基準に従って視覚刺激の見えを被験者が主観的に判断し,その結果を言語あるいはスイッチなどで報告する方法で,心理物理学的測定法とも呼ばれる.後者は,被験者の主観的な判断によらず,視覚刺激に対する被験者(動物も含む)の生体反応を計測する方法で,電気生理学的測定法,行動学的測定法,非侵襲脳機能計測法がある.
◆担当教員から学生へのアドバイス:
 普段特に意識することは少ないかもしれないが、視覚は人間にとって非常に重要な機能である。定量評価の困難な対象を、工学的に取り扱う際の手法・考え方等を学んで欲しい。

生体信号の計測と解析

◆実験内容:
 生体の電気現象のひとつであるEMG(筋電位)の測定及び解析を行い、筋活動の様々な性質を調べる。また、筋の生理的な特徴と計測・解析結果とを照らし合わせ、生体信号の工学的な応用について考察する。
◆担当教員から学生へのアドバイス:
 生体信号特有の性質を理解した上で、生体信号を計測・解析する基本的な技術を習得するのが第一の目的である。生体を対象としているが故の面白さや難しさを感じてもらえれば幸いである。

モアレ縞を用いる計測

◆実験内容:
 モアレ(moire)縞は,ゴルフ練習場のネットにゆらいで見える大きな縞模様のように,我々の身近に見ることができる物理現象であるが,現在では測長,測角,歪,屈折率の測定等の分野において広く用いられている.この実験では,モアレ縞の原理を理解し,あわせて計測への応用を会得する.
◆担当教員から学生へのアドバイス:
 モアレ縞は,ゴルフ練習場のネットに揺らいで見える大きな縞模様のように,我々の身近に見ることのできる物理現象であるが,現在では測長, 測角, 歪, 屈折率の測定の分野において広く用いられています.

光ファイバとカオスシステム

◆実験内容:
 光ファイバの基礎知識を習得し,実験にて光ファイバの特性を確かめる.また,カオスシステムではロジスティック写像などのモデルを用いてカオスの基礎知識をシミュレーションで習得する.
◆担当教員から学生へのアドバイス:
 光ファイバでは空間光学系でレーザを用いた実験を行います.作業をするときにはレーザ光が目に入らないように注意して実験してください.

倒立振子の制御

◆実験内容:
倒立振子の制御を通して制御論の基礎を習得する.まず,制御対象となる倒立振子の線形状態方程式モデルの導出方法を理解する.つぎに,極配置法と最適レギュレータ法を用いて状態フィードバック則を求め,実機に適用することでこれらの手法の特性を学ぶ.さらに,オブザーバに基づく出力フィードバック制御についても学習する.
◆担当教員から学生へのアドバイス:
本実験では,制御論の知識を倒立振子という具体的なシステムに適用します.安定性や速応性といったシステムの特性に関する知識が特に重要です.体系的な理論の有用性を確認し,その面白さを体感してください.